本当に問われるべきは“個人”なのか?琉球病院の件を世論とともに考える
2025年、沖縄の医療現場を巡る一つのニュースが静かに、しかし確実に波紋を広げています。
国立病院機構 九州グループは、
琉球病院(沖縄県金武町)に勤務する
看護師12人、療養介助職員2人の計14人を
「就業規則で定められた休憩時間を過剰に取得した」として戒告の懲戒処分としたと発表しました。
何が起きていたのか【事実整理】
報道によると、対象となった職員たちは、
- 深夜帯で患者の状態が落ち着いている時間帯に
- 休憩室で30分〜1時間ほど長めに仮眠を取っていた
とされています。
この行為自体は、今年1月に起きた入院患者の死亡事案の院内調査の過程で発覚しました。
ただし、病院側は明確にこう述べています。
「患者死亡との因果関係は確認されていない」
また、確認できた中で最も古いケースは2021年10月ごろ。
少なくとも数年単位で、同様の勤務実態が続いていたことになります。
なぜ今、この件が「処分」になったのか
ここで多くの人が感じる違和感があります。
「今まで問題にならなかったことが、
なぜ急に“懲戒”になるのか?」
答えはかなり現実的です。
■ 死亡事案が“引き金”になった
- 患者死亡という重大事案が発生
- 院内調査・外部への説明責任が生じる
- 組織として「他の不備」も洗い出さざるを得なくなる
その過程で、
これまで暗黙の了解で流されてきた勤務実態が
「正式な規則違反」として浮上した。
これは医療に限らず、
事故やトラブルが起きたときに初めて“別件”が表に出る
組織あるあるでもあります。
SNS・世論の声は真っ二つ
このニュース、SNSでは意見が真っ二つに割れています。
◆ 看護師側に同情的な声
- 「夜勤で仮眠も取れない方がおかしい」
- 「人間なんだから眠くなるのは当たり前」
- 「むしろ今までよく回ってたなと思う」
- 「制度が現場に合ってないだけ」
医療・介護経験者と思われるアカウントからは、
**“現場を知らない処分”**という批判が多く見られます。
◆ 厳しい目線の声
一方で、こんな意見も確実に存在します。
- 「命を預かる仕事で仮眠はどうなのか」
- 「患者側から見れば不安しかない」
- 「規則は規則。守れないなら問題」
特に一般市民・患者目線では、
**“感情的に納得できない”**という反応も少なくありません。
ただし、処分は「戒告」──ここが重要
今回の懲戒は戒告。
これは懲戒処分の中でも最も軽いものです。
- 減給なし
- 停職なし
- 実質的には「厳重注意+記録」
これは病院側が、
- 悪質な職務放棄とまでは見ていない
- 組織側の管理責任も小さくない
と判断している証拠とも読み取れます。
本当に問われるべきは「個人」か?
この件を“看護師のモラル問題”で片付けるのは簡単です。
しかし、それでは何も解決しません。
問題の本質はここ
- 夜勤体制は現実に即しているのか
- 仮眠が事実上必要な勤務なら、規則は見直されるべきでは?
- 管理職は長年この実態を把握していなかったのか
- なぜ2021年から是正されなかったのか
制度と現場がズレたまま放置されていた結果、
事故をきっかけに“個人だけが表に出た”
これが今回の構図です。
沖縄という地域性も無関係ではない
沖縄は慢性的な医療人材不足を抱えています。
- 夜勤負担が重い
- 人手が足りない
- 一人当たりの責任が重くなりがち
その中で現場は、
「理想」と「現実」のギリギリのバランスで回っている。
今回の件は、
その無理が可視化された出来事とも言えます。
まとめ:これは“誰の問題”なのか
このニュースは、
「看護師が悪い」「病院が悪い」という単純な話ではありません。
- 医療現場の疲弊
- 時代に合わない就業規則
- 事故が起きてからしか是正されない組織体質
- そして、患者側の不安と不信
そのすべてが絡み合っています。
問われるべきは、
「なぜ、こうなるまで誰も手を付けなかったのか」
ではないでしょうか。



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