横浜DeNAベイスターズで14年間。
泥だらけになりながら外野を駆け回り、声を張り上げ、誰よりも勝利に執着してきた男が、新たなユニフォームに袖を通した。
桑原将志。
FAで移籍した先は、埼玉西武ライオンズ。
正直、まだ心が追いつかないベイスターズファンも多いはずだ。
それでも、22日の入団会見で語られた言葉を聞いて、「やっぱり桑原は桑原だった」と感じた人も多いのではないだろうか。
「任されたところで役割を果たす」──ブレないプロ意識
西武・西口文也監督は、桑原をレフトかライトで起用する考えを明言した。
かつてセンターでゴールデングラブ賞を2度獲得した男にとって、決して軽い話ではない。
それでも桑原はこう言い切った。
「任されたところで自分の役割を果たす。それがプロ」
この言葉、ベイスターズファンなら何度も見てきた姿と重なる。
打順が変わっても、役割が変わっても、
「文句を言う前に走る」「声を出す」「全力で守る」。
桑原将志という選手の本質は、ポジションでも数字でもなく、姿勢そのものだ。
センターへの誇りを否定しない、でも縛られない
印象的だったのは、センターへの思いを否定せず、しかし固執もしなかったこと。
「こだわりがゼロではない」
「でも任されたところで、自分のパフォーマンスを出したい」
ベイスターズ時代、センターで何度チームを救ったか。
それを自分自身が一番分かっているからこそ、「経験」として静かに胸にしまう。
この潔さは、若手ではなかなか到達できない境地だ。
ベルーナドームの暑さ?「言い訳でしかない」
西武移籍で必ず話題に出るのが、ベルーナドームの“暑さ”。
だが桑原は、笑いながらこう言った。
「環境のせいにしてパフォーマンスが出ないのは言い訳でしかない」
……ああ、これだ。
この一言で、ベイスターズファンは思い出してしまう。
真夏のハマスタで、誰よりも汗だくになっていた姿。
苦しい展開でも、ベンチの先頭で声を出し続けていた背中。
場所が変わっても、桑原将志の本質は何も変わらない。
正直、悔しい。でも誇らしい。
ベイスターズファンとして正直に言えば、
まだ悔しいし、寂しい。
できるなら、横浜で引退まで見たかった。
それは紛れもない本音だ。
でも同時に、こうも思う。
「この男が、環境を理由に逃げるはずがない」
「どこに行っても、桑原は桑原だ」
だからこそ、
西武で泥だらけになって戦う姿を想像して、少し誇らしくもなる。
桑原将志は“敵”になっても、尊敬は消えない
これから対戦相手になる。
ヒットを打たれれば悔しいし、好守を見せられれば舌打ちもするだろう。
それでも――
ベイスターズファンは知っている。
あのガッツ、あの声、あの全力疾走が
本物のプロの姿だということを。
桑原将志の新たな挑戦が、
西武でどんな物語を描くのか。
それを、少し距離を置いた場所から、
静かに見届けたいと思う。



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