かつて大学相撲界で学生横綱を争った2人が、今や大相撲の主役として再び土俵でぶつかり合った。
2025年の中日前、結びの一番。
幕内最高位・横綱 大の里(=中村泰輝)に挑んだのは、同期で元学生横綱の 阿武剋(=チョイジルスレン)。
この顔合わせに、相撲ファンの胸が熱くならないわけがない。
「あのとき」の学生横綱決定戦──2022年、両国国技館
時をさかのぼること3年前。
第100回全国学生相撲選手権大会・個人戦の決勝で対峙したのが、当時ともに日体大4年生だった中村泰輝とチョイジルスレンだった。
注目を集めていたのは前年のアマ横綱、中村。
一方で、チョイジルスレンは「差さずに前に出るしかない」と、食らいつく覚悟の押し相撲。
結果は──チョイジルスレンの勝利。
学生横綱の称号を得た彼は、「僕の方が弱いので、勝つなら前に出るしかない。その気持ち一心で走りました」と語った。
仲間であり、ライバルだった2人の勝負は、この日いったんの決着を見た。
それぞれの道へ──角界入りと、それぞれの活躍
学生時代をともに過ごした2人は、そろって大相撲の世界へ。
中村泰輝は「大の里」と名を変え、わずか所要3場所で十両昇進。
その後も怒涛の快進撃を見せ、史上最速での幕内優勝、さらには2025年、横綱昇進という偉業を成し遂げた。
一方のチョイジルスレンは、「阿武剋(おうのかつ)」として阿武松部屋に入門。
幕下15枚目格付け出しからスタートし、着実に勝ち星を重ねて関取昇進、そして今場所はついに幕内での勝負を迎えた。
2人は今、堂々たる“幕内力士”として再び同じ土俵に立っている。
結びの一番で再戦──そして、今度は「横綱相撲」
そして迎えた2025年名古屋場所中日前、結びの一番。
大の里に挑んだのは、かつて自分が敗れた男、阿武剋だった。
立ち合い、冷静かつ堂々と組んだのは大の里。
あの学生横綱決定戦とは逆に、今度は阿武剋が押される側だった。
最後は横綱が堂々と寄り切り、相手を圧倒して勝利。
あのときの続きは、大相撲の土俵で。
勝敗は逆転したが、見ている誰もが、この取り組みに「因縁」と「尊敬」の匂いを感じたに違いない。
仲間でもあり、ライバルでもある──未来をつくる2人
学生相撲の舞台で火花を散らした2人が、今や大相撲の未来を背負う存在になった。
すでに“ひとり横綱”として重責を背負う大の里。
その背中を追い、再び肩を並べようとする阿武剋。
同じ釜の飯を食べ、同じ夢を追った2人の物語は、まだまだ続いていく。
いつかまた、「結びの一番」での再戦が当たり前になる日を──ファンは楽しみに待っている。



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